リーガエスパニョーラは攻撃でセリエAは守備のサッカースタイル
スペインのプロサッカーリーグ「リーガエスパニョーラ」は攻撃重視のチームであふれています。代表格はFCバルセロナでしょう。1988年から1996年までチームを率いたヨハン・クライフによって、ポゼッション重視の戦術が植え付けられました。その後も、クライフの哲学は受け継がれ、下部組織から選手には攻撃的なサッカーを叩きこんでいます。そして、彼らがトップチームに昇格した際には、華麗なパスサッカーの中心を担うのです。バルセロナ以外のチームも、上位や下位に関係なく攻撃にこだわったサッカーを披露しています。
一方、イタリアのサッカーリーグ「セリエA」は守備の文化が中心だといえるでしょう。人数をかけてゴール前を固め、何よりも失点しないことを重視するスタイルは「カテナチオ(かんぬき)」と形容されます。そして、ボールを奪えば電光石火のカウンターによって、相手ゴールへと迫ろうとします。実際、80年代~2000年代には、セリエAのチームが守備サッカーによってチャンピオンズリーグの舞台でも優勝を重ねました。
ただし、現代サッカーにおいてはリーグによって戦術を語るのが困難になってきています。たとえば、チャンピオンズリーグ3連覇をなしとげたジダン監督のレアルマドリードは、リーガエスパニョーラのチームでありながら守備的でした。一方、ナポリ、アタランタといったセリエAのチームはポゼッション主体の攻撃サッカーを貫き、リーグで上位に食い込んでいます。移籍市場が活性化し、監督や選手が国外に活躍の場を求めるようになったのも大きいでしょう。リーガエスパニョーラやセリエAは伝統の戦術を基盤にしながら、柔軟性も身につけつつあります。ヨーロッパサッカーを見るうえでは、リーグごとの戦術の移り変わりにも注目してみましょう。